夫婦が離婚すると、結婚中に夫婦が共同で集めた財産を分ける必要が生じます。このとき離婚した夫婦一方が相手配偶者に対する財産分割を請求する権利が財産分割請求権です。
財産分割請求権は、婚姻中に形成された共同財産に対する各当事者の寄与度を反映した公正な清算を目的とする権利です。これは、婚姻生活における経済的・社会的地位の平等を前提とし、さらに経済的能力のある配偶者が離婚後の生活能力が不足している配偶者を一定部分浮揚できるようにすることで、社会正義と公平の理念を実現するために認められる権利です。
事実婚関係にあっても財産分割請求権を認めることが私たちの判例の立場です(最高裁判所1995.3.28.宣告94ム1584判決)。
財産分割の対象となる財産は、原則として婚姻中、夫婦が共同で協力して集めた財産で、夫婦のうち誰の所有かが不明な共同財産です。
判例は、その財産が夫婦一方の名義になっていたり、第三者名義で名義信託されていても、実際に夫婦の協力で獲得した財産であれば財産分割の対象となるものとみています(最高裁判所 1998. 4. 10. 宣告 96 1434 判決)。夫婦の共同財産には住宅、預金、株式、貸与金などがすべて含まれ、債務がある場合はその財産から控除されます。
婚姻前から夫婦が各自所有していた財産や婚姻中に夫婦一方が相続・贈与・遺証で取得した財産などは夫婦一方の特有財産として(民法第830条第1項)、原則的に財産分割の対象となることはできません。ただし、他の一方がその特有財産の維持・増加のために寄与した場合、その増加分について財産分割に含めることができます(最高裁判所 1994. 5. 13. 宣告 93ム1020 判決等)。
夫婦が離婚する場合、財産分割請求権は離婚した日から2年を経過すると消滅します(民法第839条の2第3項)
裁判上離婚をする場合には、財産分割請求を離婚請求とともに行うことが一般的なため、財産分割請求権の行使期間が経過する恐れがほとんどありません。しかし、協議離婚をする場合には、財産分割に対する合意にならずに離婚することがよくあります。このような場合には、離婚した日から2年以内に財産分割請求権を行使しなければ財産を分割することができません。
婚姻中に共同で形成した財産は離婚時に分割できます。しかし、財産が夫婦共同名義ではなく配偶者単独名義になれば、相手が財産分割を避けたり減らす目的で財産を任意に処分することができます。
したがって、財産分割時に裁判所に仮差押えや仮処分などを申請し、配偶者名義の財産(不動産、預金、賃貸借保証金など)に対して保全処分をしておく必要性があります。